昨年頃からroonが
メディアで取り挙げられる機会が増えてきました。
roonはRoon Labs社のミュージック&メディア・ソリューション・サービス。その原型はMQAフォーマットで今話題のMeridian Audio社のネットワーク・オーディオ・システム
Sooloos。roonはその開発部門からソフトウェアセクションがスピンアウトした企業の製品のようです。
roonのウェブサイトを一読し、早速用意されているTrialサービスを利用してみました。roon、roon server、roon remote、roon bridgeと順に、いわゆるプレーヤー、サーバー、コントローラー、レンダラー機能を有するアプリケーションを各デバイスにインストールすると、メディアサーバーに保存している音源のアルバムアートがiPadのroon remote画面にすばやく美しく表示されました。
続いて入出力デバイスの設定を行いプレイリストに曲を並べ再生すると、USB-DACを通じてスピーカーから音が出てきました。この間の一連のアクションはPC・ネットワークオーディオのフローと同じです。ただしroonはUIの視覚的、制御的な優位性がファーストタッチで実感でき、さらに楽曲等の付随情報にあたかも情報のページをめくるが如くアクセスできる機能も比較優位性を覚えました。そこでもう一度roonのウェブサイトを覗くと、目に付いたフレーズがありました・・・「
experiene」
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Experience 【エクスペリエンス=経験】エクスペリエンスとは、狭義のUX・ユーザーエクスペリエンス(デザイン)、広義のCX・カスタマーエクスペリエンスのことで、顧客経験価値または
全体最適と称されるマーケティング用語です。これは顧客が企業の製品・サービスで感動を経験し、企業がその関係を持続し続けるためのサービスマネージメントというような概念です。
従来はCS・カスタマーサティスファクション、CRMを採用するマーケティング手法が一般的でしたが、顧客とサービスの関係を感情・感覚で捉えると関心<満足<感動とスケールが右に行くほど重要であり、より顧客理解を進めるためにCSからCXへという流れが昨今のマーケティングにはあります。事例を挙げればAmazon、Appleは古参ですが、最近ではファッション系ECサイトのZOZOTOWNが成功事例です。
それらECサイトは、例えばDWH(データウェアハウス)を構築し、集まるビッグデータを分析することで適切なソリューションやサービスを作成し、UXで言えば、UIのデザイン性や迅速性などのユーザビリティ、サイトとサポートとのタイムリーでシームレスなつながりなどを構築し、顧客サービスを向上させます。それらデータが企業側の経営判断に利用され、サービス群が顧客側の価値判断に通じるものとして包括的に捉えるのです。
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roonのUIにタッチしたしとき、そのユーザビリティの比較優位性はつまり満足以上の何かを感じとったことでUXを、roonはストレージサーバーに保存しているコンテンツのメタデータなどをCoreに収集・分析し、パーソナルトレンドに最適化したアルバムアートや付随情報を適切にタイムリーにユーザー側のデバイスへ提供しますが、これはCXをそれぞれイメージしたわけです。
その技術的な骨格は
sooloosベースのRAATプロトコルですが、コレクションデータのロードやデコードなど負荷処理をレンダラーから分離することで(このアイデア自体はAirplayなどに近いスキームがありますが)サウンドクオリティのアドバンテージを得つつ、デバイスをゼロコンフィグでサービスとシームレスにつなぐコンセプトを具現化したRAATのアプローチもまたUXを連想しました。
さて、今までシームレス、ゼロコンフィグ、ユーザービリティ、部分と全体最適などデバイス・サービス毎のコンセプトを個別にフューチャーしてきましたが、いよいよ包括概念であるエクスペリエンスに至りました。この現象はマーケティングのCTからCXへの流れを考えると自然かつ必然であり、つまりはデジタルソリューションとマーケティングソリューションとは情報活用という支点でシンクロしており、言わばエクスペリエンスが現状においてネットワークオーディオの本質と捉えて差し支えないようにも思います。
今回フューチャーしたRoon Labsのroonから垣間見えてきたサービスが今後オーディオマーケットシーンに与える影響は、もしかしたら案外小さくないかもしれません。今後RAAT対応のデバイス・レンダラー(roon ready)が登場し、UPnPやBonjourとのコンパチブルな環境が身近になるでしょうから、そこにイノベーションのシナジー効果が生じると、オーディオ&メディアサービスはより一層面白くなりそうな予感がしています。
つづきは、
コラム デジタルソリューション考・Part7 MQAとStream The Studioです。
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